No.33 - GRENE NC-CARP

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No.33 - GRENE NC-CARP
No.33
JPbiomass-net
バイオマスネットワーク
ニュースレター
No.33
発行日 2015年6月15日
JPbiomass-net Report (34)
文部科学省が植物関連課題を平成27年度戦略目標に決定
江面 浩
筑波大学 生命環境系・教授
文部科学省が戦略的創造研究推進事業
システムの構築」が戦略目標となりま
(新技術シーズ創出)(以下,「戦略事
した(詳細は,http://www.mext.go.jp/
業」)に関する平成27年度戦略目標を公
表(5月15日付)したので簡単に紹介し
b_menu/houdou/27/05/attach/
1357909.htm を 参 照)。以 下,戦 略
ます。詳細は,http://www.mext.go.jp/b_
目標の概要,達成目標,この目標が達
menu/houdou/27/05/1357902.htm を 参
成することで実現される社会像,想定
照願います。
される研究例,その他研究提案を行う
CONTENTS
JPbiomass-net Report
◆文部科学省が植物関連課
題を平成27年度戦略目標
に決定
シンポジウム開催案内・公募
情報
◆ワークショップ「植物科学研
究を農業用作物にどのよう
に繋ぐか」(2015.06.30)
●JST戦略的創造研究推進
事業(CREST・さきがけ)平
成27年度研究提案募集
(第2期)の予告
上での考慮事項について,抜粋して紹
この戦略目標は科学技術振興機構
介します。
(JST)に通知され,JST は戦略目標の
達成に最適な研究領域および研究総括等
概要
を選定し,6月から研究課題(CREST/
さきがけ)の公募を開始します。
気候変動等の環境変化に適応する農
戦略事業は,トップダウンで定めた戦
作物の開発・栽培技術の確立は,日本
略目標・研究領域において,大学等の研
を含む世界的な食料問題の解決に不可
究者から提案を募り,組織・分野の枠を
欠です。これを実現するためには,我
超えた時限的な研究体制(バーチャル・
が国のモデル植物の研究で得られた基
ネットワーク型研究所)を構築して,イ
礎植物科学の知見を,農作物の開発や
ノベーション指向の戦略的な基礎研究を
栽培につなげることが重要であり,植
推進する JST の運営費交付金による競
物科学における生物的データを,工学
争的資金制度です。
や情報科学等の異なる分野の技術も含
文部科学省は,毎年,国内外の研究動
めた新たな視点で収集・解析すること
向を踏まえ,将来の社会経済に大きな影
で,育種開発や栽培技術の高度化につ
響をもたらす新技術シーズを創出するた
なげていくことが必要です。そのた
めの目標を,戦略事業の戦略目標として
め,本戦略目標では,植物科学で蓄積
定めています。この戦略目標に基づき,
されたゲノム,トランスクリプトー
大学等の研究者から研究提案が募られ,
ム,メタボローム等のオミクスデータ
戦略的な基礎研究が推進されます。
と,最先端の測定技術を活用して取得
するフェノーム等の定量的データ,さ
植物関係では,「気候変動時代の食料
らには数値化された環境要因等を情報
安定確保を実現する環境適応型植物設計
科学的に統合解析することで,植物の
1
JPbiomass-net へのご寄稿,イベン
トの開催案内など掲載希望の情
報,配信先アドレスの追加・変更
および配信停止については,NCCARP 事務局までお知らせくださ
い。
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No.33
生育・環境応答の予測モデルを
設計・作製と実証
構築し,さらに予測モデルをも
とにした環境適応力が向上した
植物体の作製と実環境における
植物の表現型を定量的に把握
可能なフェノーム解析技術の高
実現する将来の社会像
度化を行う。また,植物の生理
状態を精密に把握可能なセンシ
栽 培 実 証 を 行 い,植 物 の「生
(1)急激な気候変動により,
ング技術およびイメージング技
育・環境応答予測モデル」を基
現在の農作物の栽培好適
術の開発と,農業現場展開に向
盤とする「環境適応型植物設計
地域が栽培不適地域とな
けた高度化等を行う。
システム」を構築します。これ
る懸念が高まるなか,
により,様々な環境条件下で生
「生育・環境応答予測モ
(2)表現形質の変動に対応す
育可能な農作物の設計・作製お
デル」による予測をもと
る対象植物ごとの生物的
よび栽培を可能とし,食料の安
に開発されてきた作物・
指標(バイオマーカー)
定確保の実現を目指します。
品種によって,現在の農
の同定
達成目標
本戦略目標では,植物体に関
作物では農耕不適地とな
表現形質の変動に対応するバ
る地域でも安定した食料
イオマーカーの同定に関する研
生産量を確保できる社
究を行う。また,野外および制
会。
御環境など,様々な環境条件下
わる様々な要因と環境条件等の
(2)我が国で開発された「生
における植物の表現形質とリン
定量的データをもとに植物体の
育・環境応答予測モデ
クした遺伝子発現および代謝変
生育・環境応答を予測し,環境
ル」,作物改良技術,環
動情報の蓄積に関する研究等を
適応性を向上した植物の設計・
境モニタリング技術,統
行う。
作製および栽培を可能とする
合オミクス解析技術等を
「環 境 適 応 型 植 物 設 計 シ ス テ
基盤とした「環境適応型
(3)植物科学や工学等の異分
ム」を構築することを目的とし
植物設計システム」が総
野技術の融合を活用した
ます。具体的には,以下の達成
合的な農業技術パッケー
バイオインフォマティク
を目指します。
ジとして海外へ技術移転
スによる「植物の生育・
(1)植物の生育・生理状態・
され,国土の大半が現在
環境応答予測モデル」の
環境応答を詳細に把握可
の農作物では農耕不適地
構築
能な定量的計測技術の開
となっている国や,気候
想定環境における植物の生育
発
変動の影響で収量が減少
や開花等の表現形質の予測に係
(2)表現形質の変動に対応す
した国においても安定し
る研究を行う。また,環境スト
る対象植物ごとの生物的
た農作物栽培が可能とな
レスに対する応答性の予測と,
指標(バイオマーカー)
り,人口増や環境悪化に
ストレス耐性を向上させる遺伝
の同定
よる食糧不足の解決に貢
子および関連形質の予測に係る
献している社会。
研究等を行う。
(3)植物科学や工学等の異分
野技術の融合を活用した
バイオインフォマティク
具体的な研究例
スによる「生育・環境応
答予測モデル」の構築
(1)植物の生育・生理状態・
(4)「生育・環境応答予測モ
環境応答を詳細に把握可
デル」を基にした環境適
能な定量的計測技術の開
応性を向上した植物体の
発
(4)「生育・環境応答予測モ
デル」を基にした環境適
応性を向上した植物体の
設計・作製と実証
「生 育・環 境 応 答 予 測 モ デ
ル」をもとに,環境応答性を向
2
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No.33
上するように設計した植物体を
るための取り組みが不可
期待される。また,戦略
作製するための植物体改変技術
欠である。特に,人材不
的イノベーション創造プ
の開発と高度化を行う。また,
足が指摘されるバイオイ
ログラム(SIP)「次世代
「生育・環境応答予測モデル」
ンフォマティクス分野の
型農林水産業創造技術」
をもとに設計・作製された植物
人材の参画と養成が重要
等の出口戦略と有機的に
体の野外および制御環境におけ
である。また,我が国に
連携し,本戦略目標の下
る栽培検証を行い,栽培期間に
おけるライフサイエンス
で行われる研究の成果が
おける表現形質や生理状態変化
分野の研究データおよび
着実に展開されることが
のデータ化と「植物の生育・環
成果が効率的に活用され
期待される。
境応答予測モデル」へのフィー
るためには,科学技術振
ドバック等を行う。
興機構バイオサイエンス
以上,平成27年度の植物関連
データベースセンター
の戦略目標について紹介しまし
(JST−NBDC)等を最大
た。NC-CARP 事業で得られた
限に活用する。
成 果 を 基 盤 に,研 究 提 案 を 行
その他
(1)本戦略目標においては,
(2)実証を伴う課題設計のた
い,将 来 の フ ー ド セ キ ュ リ
基礎植物科学以外の情報
めには,農作物の実地的
ティー(食料安全保障)の確立
科学・工学・農学等の異
栽培環境と同等の条件で
に貢献できる成果の創出に期待
分野の研究者が積極的に
植物を栽培・管理する環
します。
参入し,実質的に協働す
境を備える機関の参画が
シンポジウム開催案内・公募情報
ワークショップ「植物科学研究を農業用作物にどのように繋ぐか」
日
時: 2015年6月30日(火)13:00 ~17:30
場: ビジョンセンター東京 601号室(東京都中央区八重洲2-3-14 ケイアイ興産東京ビル6F)
URL: http://www.sangaku-cons.net/pamphlet/20150630_Workshop_okayama-u.pdf
主 催: 岡山大学 URA 執務室
問合せ: 人数把握のため,事前登録をお願いします。
岡山大学 上席リサーチ・アドミニストレーター 武田 穣
Tel :086251-8930 E-mail : ytakeda-1@okayama-u.ac.jp
会
13:00 主催者挨拶
13:10 「ゲノムデータを活用した新
育 種 法(仮)」東 京 大 学 岩
田洋佳
13:50 「ゲノムデータを農業用作物
にどのように使うか(仮)」
岡山大学 最相大輔
14:10 「高次倍数体作物のマーカー
育種とゲノムデータ活用
(仮)」岡山大学 門田有希
14:30 「次世代モモの育種選抜法開
発」岡山県農林水産総合セン
ター 小田賢司
15:00 「NBT は社会に受け入れられ
る か(仮)」NPO く ら し と
バイオプラザ21 佐々義子
15:40 「抵抗性誘導剤による新規栽
培法の開発」岡山県農林水産
3
総合センター 鳴坂義弘
16:00 「高品質モモの輸出・輸送法
の開発」岡山大学
中野隆平
16:20 「岡山大学発プロジェクトに
参加されませんか」岡山大学
URA 執務室 武田穣
16:40 質疑応答
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JST戦略的創造研究推進事業(CREST・さきがけ)
平成27年度研究提案募集(第2期)の予告
JST では,戦略的創造研究推進事
業(CREST・さ き が け)に お け る
平 成 27 年 度 の 研 究 提 案 募 集(第 2
期)を6月中旬(予定)から開始す
ることとなりました。詳細について
は,「研究提案を募集する研究領域
(第2期)(案)」および「募集説
明会(予定)」をご覧ください。
[詳細]科学技術振興機構(JST)
http://www.senryaku.jst.go.jp/teian.
html
[重要]JST では,競争的資金によ
る公募型事業につきまして,平成
27年度新規提案募集より,「申請
する研究者等は所属機関において研
究倫理教育の講習を修了しているこ
と」を申請条件と致しましたのでご
注意ください。
詳細は「研究倫理教育に関するプ
ログラムの受講について」をご覧く
ださい。
http://www.senryaku.jst.go.jp/teian/
top/juko.html
研究提案を募集する研究領域(第2
期)(案):
[CREST]
○(仮)新たな光機能や光物性の発
現・利活用を基軸とする次世代
フォトニクスの基盤技術
(戦略目標)新たな光機能や光物性
の 発 現・利 活 用 に よ る 次 世 代
フォトニクスの開拓
○(仮)微小エネルギーを利用した
革新的な環境発電技術の創出
(戦略目標)微小エネルギーの高効
率変換・高度利用に資する革新
的なエネルギー変換機能の原理
解明,新物質・新デバイスの創
製等の基盤技術の創出
○(仮)多様な天然炭素資源の活用
に資する革新的触媒と創出技術
(戦略目標)多様な天然炭素資源を
活用する革新的触媒の創製
○(仮)環境変動に対する植物の頑
健性の解明と応用に向けた基盤
技術の創出
(戦略目標)気候変動時代の食料安
定確保を実現する環境適応型植
物設計システムの構築
[さきがけ]
○(仮)光の極限制御・積極利用と
新分野開拓
(戦略目標)新たな光機能や光物性
の 発 現・利 活 用 に よ る 次 世 代
フォトニクスの開拓
○(仮)微小エネルギーを利用した
革新的な環境発電技術の創出
(戦略目標)微小エネルギーの高効
率変換・高度利用に資する革新
的なエネルギー変換機能の原理
解明,新物質・新デバイスの創
製等の基盤技術の創出
○(仮)革新的触媒の科学と創製
(戦略目標)多様な天然炭素資源を
活用する革新的触媒の創製
○(仮)理 論・実 験・計 算 科 学 と
データ科学が連携・融合した先
進的マテリアルズインフォマ
ティクスのための基盤技術の構
築
(戦略目標)多様な天然炭素資源を
活用する革新的触媒の創製/ 情
報デバイスの超低消費電力化や
多機能化の実現に向けた,素材
技術・デバイス技術・ナノシス
テム最適化技術等の融合による
革新的基盤技術の創製(H25)/
分野を超えたビッグデータ利活
用により新たな知識や洞察を得
るための革新的な情報技術及び
それらを支える数理的手法の創
出・高 度 化・体 系 化(H25)/
環境・エネルギー材料や電子材
料,健康・医療用材料に革新を
もたらす分子の自在設計「分子
技術」の構築(H24)
○(仮)フィールドにおける植物の
生命現象の制御に向けた次世代
基盤技術の創出
(戦略目標)気候変動時代の食料安
定確保を実現する環境適応型植
物設計システムの構築
○(仮)情報科学との協働による革
新的な農産物栽培手法を実現す
るための技術基盤の創出
(戦略目標)気候変動時代の食料安
定確保を実現する環境適応型植
4
物設計システムの構築 / 社会
における支配原理・法則が明確
でない諸現象を数学的に記述・
解明するモデルの構築(H26)
募集説明会(第2期):
○(仮)環境変動に対する植物の頑
健性の解明と応用に向けた基盤
技術の創出(CREST)
○(仮)フィールドにおける植物の
生命現象の制御に向けた次世代
基盤技術の創出(さきがけ)
○(仮)情報科学との協働による革
新的な農産物栽培手法を実現す
るための技術基盤の創出(さき
がけ)
[東京会場]
日時:7月7日(火)14:00-16:00
場所:日本橋コレド早稲田キャンパ
ス ホール(東京都中央区日本橋1-4
-1)
[関西会場]
日時:7月13日(月)10:00-12:00
場所: TKP ガーデンシティ京都 会
議室「橘」(京都市下京区烏丸通七
条下る東塩小路町721-1)
事前申込は不要です。名刺をご持
参の上,直接会場へお越しくださ
い。開場は30分前からを予定して
おります。後日,説明会動画を掲載
する予定です。
上記以外の領域の説明会は,JST
ウェブページにてご確認ください。
JPbiomass-net ニュースレターバックナンバー
下記サイトより PDF ファイルをダウン
ロードしてご覧ください。
<URL> http://nc-carp.org/newsletter/
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バイオマスネットワーク
ニュースレター No.33
発行日: 2015年6月15日
発行: NC-CARP事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
takama.junko@mail.u-tokyo.ac.jp
http://nc-carp.org